たとえ鬱が夜更けに目覚めて
昼と夜のあいだの空が好きだ。
確かなものなど、なにも手に入れられないように思える。他人のことはもちろん、自分のことだって、確かなのかと問えば、そうではないように思う。
それでも、というより、それだから私たちは少しでも確かなものを求めて、人や、ものに、手を伸ばしているように見える。あの子の笑顔とか、手を握ったときの感触、コーヒーの香り、お風呂の湯気。
そうはしてもやっぱり、確かに、変わらずにあるものなんて、これっぽっちも掴めないんだけどね。
昼を過ぎて、白みがかった空の青を見ると、夜がちゃんとやってくるのが分かって嬉しい。
今夜はどんな話をしようかな。