時間

たった一枚だけ残されたカレンダー。 吊されているそれを、毎日ちらっとしか見ていなかったのに、いざなくなってしまうと、外の世界から置いていかれてしまうような気がして。 ただ部屋に吊されているだけで、きちんと周りの世界と同じ時間を生きられている…

距離、日常

伝えたいことは、近くにいても、もちろんあるのだけれど、少し遠くなってから、見つけていなかったものを見つけたりする。 ひとりでいる間に、勝手にあたためてしまったのかもしれないけど。 四月を嫌がるわたしに、高校の同級生が言った、「会いたい人には…

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「君を不幸にできるのは、宇宙でただ一人だけ」 この言葉を思い出した。 嬉しくさせたり、悲しくさせたり。 ひとりの人間を、その心を動かすことができるのだということ、胸に刻まれていたらいいのに。 私の部屋は陽当たりが良くて、あたたかい。 目を覚ま…

陽気な女の子

陽気でいるのが好きだ。陽気でいると楽しいし、周りの人たちが笑ってくれるのが嬉しいし、軽くなったような気分になる。ときどき、そうあるべくしてそうあったのかもしれない、なんて思うことがある。それが現実かもしれないけど、そう思うとなんとなく悲し…

浮き足立つ年の瀬

私のイブは、キラキラの表参道と光の下に集う人たちを横目に、カレー屋さんでお腹を満たして、喫茶店をはしごする、なんだか逃避行みたいな日だった。初めて名曲喫茶に入って、音を立てないように歩いたり、話したり、大人しくクリームソーダを飲みながら、…

たとえ鬱が夜更けに目覚めて

昼と夜のあいだの空が好きだ。 確かなものなど、なにも手に入れられないように思える。他人のことはもちろん、自分のことだって、確かなのかと問えば、そうではないように思う。 それでも、というより、それだから私たちは少しでも確かなものを求めて、人や…

写真を撮るということ

私はどちらかというと写真をよく撮る方ではなかった。素敵だな、と思うものからは目が離せなくなって、そのままじっと見つめて自分の中に残しておくのが好きだった。 だけど、当たり前にあったものが形をなくしてしまう。 実家が解体される前日、がらんとし…

なにかを通して

小さなタッパーに溜まったいつかの雨水に光りが映るのを見ていた。 昨夜、ソファーにもたれかかって、いまはアップテンポな曲は聴きたくないなとか、だけど深くて重たいようなのもちょっと、なんてことを考えていた。気がつけば私は眠ってしまっていて、目を…