2017-01-01から1年間の記事一覧

浮き足立つ年の瀬

私のイブは、キラキラの表参道と光の下に集う人たちを横目に、カレー屋さんでお腹を満たして、喫茶店をはしごする、なんだか逃避行みたいな日だった。初めて名曲喫茶に入って、音を立てないように歩いたり、話したり、大人しくクリームソーダを飲みながら、…

たとえ鬱が夜更けに目覚めて

昼と夜のあいだの空が好きだ。 確かなものなど、なにも手に入れられないように思える。他人のことはもちろん、自分のことだって、確かなのかと問えば、そうではないように思う。 それでも、というより、それだから私たちは少しでも確かなものを求めて、人や…

写真を撮るということ

私はどちらかというと写真をよく撮る方ではなかった。素敵だな、と思うものからは目が離せなくなって、そのままじっと見つめて自分の中に残しておくのが好きだった。 だけど、当たり前にあったものが形をなくしてしまう。 実家が解体される前日、がらんとし…

なにかを通して

小さなタッパーに溜まったいつかの雨水に光りが映るのを見ていた。 昨夜、ソファーにもたれかかって、いまはアップテンポな曲は聴きたくないなとか、だけど深くて重たいようなのもちょっと、なんてことを考えていた。気がつけば私は眠ってしまっていて、目を…